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アパレル業界は川の流れのように~川上・川中・川下とは~

ApparelX  News編集部のマミーです。

かわかみ、かわしも・・・などアパレルなどの流通業界の方ならば聞き慣れた言葉だと思いますが、知らない人が聞けば川の流れの話・・・?となるかもしれません。

少しカタイ話になりますが、今回はそんな川上~川下の話と卸についてフォーカスして行きたいと思います。

 

川上~川下という業界用語について

アパレルの生産も一般的な流通業界と同じく、川の流れに例えて素材=川上、アパレル=川中、小売=川下と呼ばれています。
川の流れのように糸から生地、製品へと生産工程が進み、消費者に届けられるからです。

川上とは

アパレル商品の製品に使用する生地や糸の原材料を生産したり、調達するところです。
繊維メーカーや生地メーカーがこれにあてはまります。

 

川中とは

縫製

主にアパレルメーカーのことを言い、川上の繊維、生地メーカーで作られた生地等を使って商品を製造するところを指します。
製品を企画・製造し、自社の店舗で販売したり、小売店に販売したりします。

 

川下とは

川上・川下を経て製造され、出来上がった商品を最終的に消費者に販売する小売の分野を指します。
商品を仕入れて販売するセレクトショップや百貨店などにあたります。

 

下図:川上~川下までの関係性

 

 

卸の機能とは

卸の基本的な機能は以下の5つに集約されます。

①物流機能
②在庫機能
③金融・危険負担機能
④取引集約機能
④情報提供機能

この中でも、国内アパレルの小ロット化、トレンドの変化スピード等、在庫機能をどのように果たすかがキーポイントになっています。
しかし、全てを在庫すればいいというわけではありません。川上のメーカーからは合計で、数万点の商品、またサイズ、色ごとに全てを卸で在庫することは事実上不可能です。その為、商品をアパレルメーカーや縫製工場に収める卸にとってお客様のニーズに合った商品、主力商品を絞った商品の在庫を持つことが重要になってきます。卸の中でも裏地が強い卸、ファスナーに特化した卸、ボタンが充実している卸など各社の在庫する商品にも特色があります。

また、いわゆる中抜きと呼ばれる、中間業者を省いた場合をみてみましょう。仮にアパレルメーカーの人が必要な資材を直接メーカーに注文するとします。生地や裏地・ファスナーやボタンなど必要なものをそれぞれのメーカーへ個別に発注・仕入を行うのは相当な手間ですし、かなり作業も煩雑になってきます。また、メーカーは小売ではないので、小ロットに対応していない場合が多いです。
それらの注文を取りまとめて商品を仕入れ・手配をするのが卸の使命となっています。

 

手配の裏側の話になりますが、資材は全て、別の卸を通さず、直でメーカーから仕入れることで、安く仕入れ、アパレルメーカーに安価に提供することが大事です。
しかしどうしてもお客様が急いでいる、メーカーで在庫を切らしている等々の時には臨機応変に同じ卸の仲間で在庫を持っている所に声をかけ、資材を確保し、提供するなど、ヨコの連携をしています。

 

まとめ

今後、アパレル業界において卸の仕事がなくなることは無いでしょう。しかし、SPA*など自社で製造から販売まで行う企業が増えつつある現在、卸よりもメーカーに近い所で商品を仕入れ、またメーカー機能を持って商品開発などを行っていくことが他社との差別化をし、生き残っていく道筋になって行くのではないでしょうか。

 

*SPA(SPECIALTY STORE RETAILER OF PRIVATE LABEL APPAREL)
自社ブランド商品を企画、製造、小売まで一貫してコントロールするビジネスモデルのこと。
1986年にGAPが提唱したのが始まり。ZARA,H&M,ユニクロが代表的。中間コストを削減し、価格競争力の高い商品を製造し、高利益が実現できる一方、在庫のリスクを伴う。
従来のアパレル企業が製造し店舗で売る卸売型では小売企業の取り分が店頭価格に含まれていた。
しかし、製造と小売が一体化したSPAではその中間マージンが発生しない。
このため同品質の商品を安価に提供できる他、店頭の消費者の反応が商品企画にダイレクトに伝わるため、よりピーティーに的確に消費者のニーズを反映した商品の製造が可能。

 

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