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見えないところから洋服を支える!~接着芯の基礎知識編~

ApparelX編集部のマミーです。

接着芯・・・普段洋服の表側には決して見えないものですが、芯を貼ることによって洋服を裏から支えている必要不可欠なものなんです。
実際に服を作ってみたり、もしくは解体してみないと(なかなか解体はしないですね・・・)見る機会は無いとは思いますが、あるとないとでは洋服の仕上がりに大きな差をもたらす接着芯。

実際にどんな役割があるのかを今回はご紹介していきます!

 

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そもそも芯地とはどんなもの?

芯地には表地に接着をする「接着芯地」と縫製のみで付ける芯地がありこれを「フラシ芯」と言います。

一般的に機械化によって合理化が進むアパレルの生産現場では「接着芯地」が普及しています。

接着芯地とはその名の通り、基布の裏面(または両面)に接着樹脂がついた芯地のことを言います。
基布の素材(織物・ニット・不織布)と接着剤の付き方(熱接着・シールタイプなど)によって様々な種類があり、貼る表地や用途によって使い分ける必要があります。

一方のフラシ芯は高度な技術が必要となるため、高級ワイシャツなどに使われることが多いです。

 

接着芯の役割とは?

接着芯を貼ることによってどんな効果があるのでしょうか?

1.保型性を補う

接着芯なし 接着芯あり

表地だけでは生地がクタッとしてしまいますが、芯を貼ることで型崩れを防止し張りのある美しいシルエットを保つことが出来ます。

 

2.仕立て栄えをよくする

表地にハリやコシをもたせ、形状を整えることで様々なシルエットを表現しやすくなります。

 

3.製品耐久性・付加価値を高める

着用・洗濯・クリーニングなどによってかかる負担によって生じる生地のダメージを緩和することが出来ます。また切込みを入れる際や滑脱防止の補強にもなります。

 

4.生産性を向上させる

糊の付いていない芯地の場合は手でしつけをする必要があり、手間と時間が必要となります。接着芯を使うことで表地と芯地を1枚の布として扱うことが出来るので縫製作業の工程を簡単にし、時間短縮になります。

 

裏に付いている樹脂の種類

接着芯の裏に付いている樹脂にも形状が2つあります。

1.パウダードット

接着樹脂を基布の上にそのまま乗せたもの。細かい接着樹脂を乗せることが出来るので薄い表素材用の芯地に多く使用されます。
薄い芯地基布に大きな接着樹脂を乗せることができないので、ダブルドットに比べると接着力が弱くなります。

2.ダブルドット

基布の上に樹脂戻りを起こさない為のコーティング用の樹脂(下層樹脂)をのせ、その上に接着樹脂を重ねて乗せたもの。
熱で溶けない下層樹脂があるおかげで接着樹脂が表地側だけに働き、表地に食い込みやすくなるので接着力が高くなります。

 

 

接着樹脂(ドット)の表し方

ドットの数は1インチ(2.5cm)間に並んでいる数をポイント(p)と呼んで表します。

淡色や薄地の表生地に芯地を接着するとき、芯地に使用される樹脂のドットが大きいと樹脂が表地を通して見えてしまう、または表地にシミ出してしまうことがあります。そのため、表地に合ったドットの接着芯を選ぶ必要があります。

 

芯地基布の種類と特徴

基布の種類は大きく分けると3種類あります。

1.織物

特徴:タテヨコの地の目が通っており、骨組みがしっかりしているので保型性が良いです。またタテヨコの組み合わせで様々な特徴の芯地を作ることが出来ます。
種類:平織、朱子織など

2.編物

特徴:接着面に丸みが得られ、ソフトな仕上がりで表地の風合いを損なわず、柔らかいシルエットになります。
種類:トリコット、ラッセル、メッシュなど

3.不織布

紙のように扱えるので裁断の際などに動きにくく扱いやすいです。通気性に優れ型崩れを防止します。

 

接着プレス機の種類

接着プレス機には様々な種類があり、それぞれの使用目的によって使い分けられます。

フラットプレス機

フラットプレス

 

ローラープレス機

ローラープレス

 

接着条件について

接着には温度・時間・圧力の3つの要素が必要になってきます。

・温度
温度が低いと接着樹脂が溶けない為に接着力が弱まり、芯地のはがれる原因となります。
逆に温度が高すぎると接着樹脂が溶けすぎて表生地や芯地の基布に染み込みすぎて風合いが硬くなったり剥離の原因となります。また表生地を傷める可能性もあります。

・時間
時間が短いと接着樹脂が溶けないために低い接着力しか得られず剥離の原因となります。
逆に時間が長いと温度と同じように樹脂が溶けすぎて風合いの硬化や剥離の原因になります。

・圧力
毛足のある素材の場合、圧力をかけすぎると目が潰れる原因となります。
逆に弱すぎると低い接着力しか得られず剥離の原因となります。

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プレス機を使用する場合はそれぞれの接着芯の標準接着条件を参照して、必ず本生産をする前に接着試験をすることをおすすめします。

 

基本的な接着芯の選び方

1.表地素材と相性の良い芯地を選ぶ
接着芯は表生地に接着して初めて性能を発揮します。表地の素材に相性の良い素材を選ばないと互いに反発しあい生地の風合いを損なったり、トラブルに繋がる恐れがあります。

2.デザイン、目的にあった芯地を選ぶ
洋服のイメージや目的に合ったタイプを選ばないとイメージと違う仕上がりになったり、型崩れの原因となります。

3.接着力を確認する
接着の強度は得られているか?必要な接着力は用途やアイテムによって異なります。

4.接着布の外観確認
接着後の表生地に・・・

・変色や毛足の潰れなどの表面の変化はないか?

・モアレ(木の年輪の様な模様)が出ていないか?

・接着樹脂が染み出ていないか?樹脂の凹凸が表面に出ていないか?

などのチェックが必要です。

これらの確認は接着試験などで数値化して試験することが出来るので、製品に使用する場合は事前に試験を行うと安心ですね。

 

まとめ

接着芯は表には見えないもののお洋服のシルエットや形を左右する重要な役割を担っています。

それ故に生地との相性や接着の条件など選ぶ際には気をつけないといけないですね。

次回は接着芯のトラブルと対応についてお伝えしたいと思います。お楽しみに!

 

画像・文章引用元:日東紡インターライニング株式会社

 

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